診療看護師




Nurse Practitioner

医師の働き方改革が掲げられる一方、高齢化と医師不足、さらに新型コロナウイルス感染症再燃に対する医療体制の充実も求められております。
そんな中、注目されているのが診療看護師(nurse practitioner : NP )です。日本では2008年に初のNP養成が開始され、現在では全国に672名(2022年4月現在)のNPが各施設で活動しています。
NPの働き方・役割は、施設により様々です。手術室だけに入るNP、救急外来だけのNP、一つの科に所属して動くNP、・・・。
当院では、診療看護師の活動は2019年から始まりまだまだ模索中です。
だからこそ、
自分たちで「当院の診療看護師の有り方」を切り拓いていくことが可能です。当院には受け入れてくれる良い環境があります。

NPの取り組み

NPの役割を確立することで、医療看護の質を向上させる、これを最終的に目指したいと思っております。

『患者さんを一貫して診たい』
看護師は1人の患者に対し、救急外来・ICU・病棟・オぺ室など、自分の部署にいらっしゃる時間だけを切り取って看ます。
それに対し診療看護師は、医師と共に患者の移動に合わせて部署を超えて、入院から退院されるまで一貫して一人の患者さんを診ることができます
診療看護師としての専門的な知識・技術をもって、更により良い医療・看護の提供や適切な介入方法、工夫点の検討などを、各部署の看護師たちと話し合いながら、患者の状況に合わせ日々更新し調整できることが、診療看護師の強みでありやりがいでもあります。

『チーム医療のキーパーソン   チーム医療は、診療看護師の力を最大限発揮できます!』
診療看護師は、院内を横断的に活動できます。そして、それぞれの部署内での看護・診療・多職種を繋ぐことにつながり、診療看護師がチーム医療の展開の充実に力を発揮しています。


[ 主な活動内容 ]
・特定行為の実施
・病棟ラウンド
・オーダー代行(内服、注射、検査)
・手術助手
・病棟患者の診療管理
・多職種からの質問対応や相談対応
・多職種を結んだ退院・転院調整、支援
  • 看護師からの質問や相談
  • リハビリへの依頼、対応や相談
  • 栄養士との周術期から回復期に合わせた栄養・水分管理
  • 薬剤師と薬の一包化の相談 など
・患者の『こうしたい』をサポート!
・学会発表、研究
・RRS立ち上げ                  など


例えば、「朝回診の前にラウンドをする」と考え実行に移すことで、
このような変化を体感します。
ラウンドで、前日や夜間の治療の結果をみて看護師から様子を聞き、情報をも集める。
患者さんの訴えは?疑わしい症状はないか?検査結果は出たか? など
《治療側にとって》
・次のステップが必要であれば、回診時に医師に声掛けしスムーズに指示を得られる。
・看護師の「何かおかしい」を拾い上げ、医師につなぐ。(→急変を予防できる)
・訪室回診時には、その情報や方向性に基づいた医師の聞き取りや意思確認が行われる。
・それらにより、回診の時点で方針が決められ、医師が手術に入る場合でも、患者さんの状況に
 合わせ"タイムリーに治療できる”
《患者さんにとって》
・訪室回診時の医師とのやり取りで、自分の思っていることが医師に伝わっているな、と
 安心できる。
・困っている事に対応してもらい、安楽な入院生活を送ることができる
・患者さんは症状を我慢しなくて済む。                          など

初期臨床研修医と診療看護師。各々の特長を活かし補い助け合っています
研修医と情報を共有し、良いチームワークで相互に学びがあり成長していくことができます!もちろん先輩医師からも支えられています。

先輩インタビュー

私は、2021年に診療看護師の資格を取得後、在学前から勤務していた千葉メディカルセンターに戻り、卒後研修として1年間で4つの診療科を回りました。研修終了時に卒後研修評価会を経て、2022年4月から内科配属になりました。現在は内科病棟の再立ち上げと内科入院患者様の管理、救急外来・処置室の対応などを行っています。
 これまで看護師としては、混合(整形外科、婦人科、内科)病棟、循環器内科、心臓血管外科の病棟勤務やICUで勤務してきました。その中で、患者さんが医師による診察や処置が必要な時に医師が手術や外来などですぐに対応できないという場面を経験することがありました。早期回復には患者さんのベストなタイミングで治療介入が行われることが必要です。そのためには患者さんの病態を理解できる知識と観察力、多職種との情報共有や治療方針の統一が重要だと思います。
NPは診療と看護両方の視点を持ち、横断的に多職種と関わることで仲介役となり情報共有する架け橋として、患者様の回復に向けた働きかけができると思います。また、手順書に基づいて医行為が安全に行われることも患者さんにとって有益と考えます。

 私の将来の目標は、在宅療養の方や医療的処置があり自宅に帰りたくても帰れない方のサポートをすることです。患者さんの「帰りたい」という気持ちに寄り添える知識や技術を身に着けることやACPに介入できるよう精進していきたいです。
 また、看護スタッフへの教育を通じ、看護の質をより向上できるよう貢献していきたいと考えております。




私は2022年3月に東京医療保健大学大学院を卒業し、今年度より診療看護師として千葉メディカルセンターに入職しました。現在は一年間の卒後研修中です。
 これまで看護師として血液内科や消化器内科、ICU/救急外来で勤務をしてきました。その中で、急性期にある患者さんと医療者側の意向が対立する場面、患者さんの思いが置き去りにされていると感じる場面を経験することがありました。患者さんが納得して治療に取り組むためには十分な説明が必要であり、また患者さんの希望を治療に反映させるためには、治療にあたる医師、チームに対して具体的な提案ができることが必要だと思い、医学的知識をベースに看護を行う診療看護師を目指そうと考えました。

私の将来の目標として、診療看護師として患者さんの意思決定支援や退院支援に関わることがあります。
患者さんの意向を確認しながら必要であれば自身で訪問看護を行うなどして、医療的な処置が必要であったり、状態が悪くても自宅で過ごすことを希望される患者さん、時間的猶予が無く急遽退院を決意した患者さんの「自宅に帰りたい」というハードルを少しでも下げるお手伝いが出来ればと考えています。
 現在は心臓血管外科で研修をしていますが、指導医の先生方のご理解と熱心な指導のおかげで、日々充実した研修を送ることができています。診療看護師として、患者さん、チームの皆様のお役にたてるように、これからも日々精進していきたいと思います。
「桜がみたい」「外に出たい」をサポート
患者さんに、外に出て陽を浴びて風を感じ花を見て欲しい。でも何かあったら…
と思うと、なかなかメディカルスタッフだけでは患者さんを建物の外にお連れすることが難しい面がありました。急変時の対応に備え医師との間に入る診療看護師が同行することで看護師やリハビリスタッフの行動にも変化が生まれ、何よりも患者さんの表情がイキイキとされるのが嬉しいですね。

卒後研修・実習受入れ

新たなチーム医療に向けての取り組みとして、当院は、診療看護師育成にのための「実習」施設となっています。
将来、診療看護師を目指す学生達が医師の指導のもと医学的知識と技術を習得し、医療サービスの質向上を目指します。

 診療看護師は看護部の院内出向部門に所属となり、診療サポート室への配属となります。
 卒後研修については、1年間の研修を予定しております。診療部と看護師、多職種との連携推進や円滑な医療実践に結び付けられるように一定期間看護業務を行いこの病院に慣れていただき、その後各診療部で研修をします。研修期間・内容や研修する診療科については、ご本人の経歴や意向など相談した上で決めたいと考えております。

これから診療看護師を目指す方へ

診療看護師とは
看護職でありながら,より医師サイドにたった診療を一定の制限で行える国が認めた新たな制度上の看護師であり,医学を学ぶことで医師と共通言語を持って診療にあたることができる資格となります.看護師が看護学を軸に大学院にて2年間医学を学び,これまで医師にしか実施することが出来なかった診療行為の一部を担うことができます.さらに医師と看護師,双方の視点を併せ持ち,より広い観点から患者様のニーズを捉えサポートできることを強みとしています.

キャリアアップを考える皆さんへ
①患者さんを入院から退院まで、部署を越えて一貫して看たい
②充実したチーム医療の中で働きたい
③より広い視点を持って医療・看護を学習したい
キャリアアップをどう考えるのか、悩まれている方も多いと思いますが、お気軽にお問合せください。

診療看護師(NP)に必要とされる7つの能力(コンピテンシー)(日本NP教育大学院協議会)
1.包括的な健康アセスメント能力
2.医療処置管理のマネジメント能力
3.熟練した看護実践能力
4.看護管理能力
5.チームワーク・協働能力
6.医療・保健・福祉の活用・開発能力
7.倫理的意思決定能力


人・チーム・一つひとつの事象、その全てが繋がっています。
その間に入って動かすのがNPのやりがいを感じる瞬間です!

採用情報

下記へお気軽にお問合せ願います。

千葉メディカルセンター 看護部 看護管理室
〒260-0842 千葉県千葉市中央区南町1丁目7番1号
TEL: 043-261-5179 (直通)
e-mail:nurse@seikeikai-cmc.jp

※メールにてお問い合わせいただけますと助かります。